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2022.Mar.15〔Tuesday〕
ある生徒さんの卒業
こんにちは、塾長の太田です。
先日、当塾に本当に長くお越しいただいていた生徒さんが、卒業されました。
長野高専の前期に合格された後の期間も、通ってくださっていました。
とても穏やかで、謙虚な生徒さんで、私の方がその生徒さんから多くのことを学ばせていただいておりました。
その彼が卒業されるという現実に直面して、失恋したときのような感覚にとらわれています。
ただ、失恋はときに不条理なものを伴いますが、その生徒さんの卒業は条理に満ちたものです。当塾が、小学生・中学生を主として見させていただいているという物理的な状況の他に、私がそう感じる要因はもう一つあります。
それは、彼が既に私を超えていると、私が感じることにあります。
経営的な観点からは矛盾を孕んでいるかもしれませんが、私が指導させていただいている上での究極的な目標は、生徒さんが「一人でたたかっていけるから、もうあんたの世話は必要ない」と言って、塾を後にすることです。
その生徒さんが、ずっと通ってくださっていたことに対して、老い行くものが慢心せずに努力しつづけることの重要性を改めて教えていただいたことを、本当に有難く思っております。
不条理な別れは整理するまでに時間がかかる場合がありますが、条理に満ちた別れも整理することができない場合があることを、その生徒さんが私に教えてくれました。
人間と人間の邂逅には、整理しがたいものが多くあり、それだから、まだ死ぬことはできない、それだから、生き続けることを希求する価値があるんだと、人間存在の苦悩と光をその生徒さんから“からだぜんたい”に浸透させていただいた、そんな心境でいます。
彼をあたたかい目でずっと見守ってくださったご両親と、そうしたご両親のもとで成長されて周りに穏やかであたたかい光を照らしてくださった彼に感謝して、これからの人生を生きていきたいと思います。