ブログ
2022.Sep.21〔Wednesday〕
ある生徒さんの“着こなし”から感じたこと
こんにちは、塾長の太田です。
先日のブログで、“仕事着の美”についてふれましたが、他方で、私服にいつも特定の世界観があらわれていて、素敵な生徒さんがいらっしゃいます。
先日のブログでふれた小野塚秋良氏は、ユニフォームブランドの着想を、パリのカフェで働いている人々から得たと、雑誌に書かれていた記憶があります(まちがっていたら、すみません)。
また、今回のブログの題目に関して無理やりフランスにつなげると、あるファッション誌のなかで、甘さと辛さといった正反対の味覚をミックスして旨味を引き立てるフランス料理の技術と着こなしの親和性についてふれられていたのですが、上述した生徒さんからは、そうしたエッセンスを感じます。たとえば、ジャージ(スポーツ)とシャツ(ドレス)、Tシャツ(カジュアル)とローファー(トラディショナル)、オーバーオール(ワーク)とフェミニンな要素があるシャツ、上下のサイズバランス、異素材ミックスなど。
異なる要素のものを取り入れることでバランスをとることは(様式、素材、シルエットなど)、着こなしの定石ともいえるかもしれませんが、実践するのはそう簡単なことではありません。そうしたバランス感覚は、知識や経験(いろいろな着こなしを実践してきた経験)によって身につくのではないかと思います。
さらに、年齢をかさねて手持ちの服がふえてくると、異なる柄をあわせることで、予想外の良さが生まれることがあります(そうなった瞬間、手もちの服にあらたな生命が宿ることになります)。こうしたことから、異なるものを組みあわせることで生じる予想外の効果は、常識や思いこみにとらわれずに、偶然性に身をひらく姿勢をもつことで生じる面もあるということが言えるかもしれません。
また、ひろい意味での学びに関しても、知識を蓄積したり経験をつんだりする段階があってはじめて、新たな視覚を得るための土壌ができ、そうした視覚が現出する可能性は、偶然性に身をゆだねる構えがあってのことと思います。
学びも着こなしも、特定の“コード”を身につけつつも、新たな発見に通じる偶然性に身をひらいておく“あそび(余白)”の部分を保持することが大切なのではないかと感じます。