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ブログ

2022.Dec.11〔Sunday〕

おもしろい“誤答”―その2―

こんにちは、塾長の太田です。

ロートレアモン伯爵の詩の一句である「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘との偶然の出会い」の対極をなすのが、「学校や学習塾の机上のテスト」と言えるかもしれません。

現実世界のさまざまな複雑な事象は、その属性を限りなく挙げたところで、解に到達したことには到底なりえませんが、テストに関しては、その属性を列挙していくことは同語反復に帰するものという言い方もできるのではないでしょうか。たとえば、解があるもの。また、現実をなりたたせている複雑な諸条件を極限まで省く、“無菌空間”のような設定の上に成立しているもの…。

ただ、「学校や学習塾の机上のテスト」に向かわざるをえない場合もあることのように、特定の目的に自分を合わせていくことが必要とされることもあります。以下で紹介させていただくのは、そうしたなかでの話です。

生徒さんを指導させていただいていて、ときどき、おもしろい“誤答”に出会うことがあります。

テストでは、条件が確固たるものとして設定されている(それがその“ゲーム”のなかでのルールとなっている)場合がほとんどであるため、問題作成者のレールから逸脱した解答は、残念ながら、×をつけざるをえないことがほとんどです。

ただ、生徒さんが意識的にそうしたと思われない場合でも、思いがけない視点が提示された!と感じさせてくれる解答があります。

このシリーズでは、そうした“誤答”を紹介していきたいと思います(そうした“誤答”に出会ったときに、随時、紹介させていただきます)。

今回は、社会の文章記述問題での“誤答”について。

ある生徒さんが、ある特定の模擬試験を受験された後の、誤答箇所の解き直しをしていたときのこと。

興味をひかれたのは、大雨によって土石流が発生したときに、下流への被害を少なくするために設置されている砂防ダムに関する文章記述問題(砂防ダムの写真とともに、大雨土砂の2語をつかうことが条件づけられた問題)。

その生徒さんの解答は、「大雨によって…(核心にふれる部分は、敢えて隠します)土砂くずれによって被害が起きるのを防ぐため」(当該模試の採点では、テスト的な意味で、もちろん×になっていました)。

この解答に対して難色を示すことは簡単ですが(合理的な観点からは、砂防ダムがあることによって、大雨による土砂災害それ自体を防ぐことは難しいことです)、私は特定の部位が脱臼されるような感覚をおぼえました(思いがけないところを突いてきたことに対して、構えができていなかった衝撃を受けたことによって)。

その解答は、“祈り”ということにも通じるような気持ちがこもったことばでもありえます。

合理化されたものの極致とも言えるテストのなかで、当該解答は、オブジェが祈りという意味あいを帯びる可能性と、そうしたことが古代の歴史だけでなく、現代の日常生活で私たちが(無意識のうちに)行っている行為の中にも見られることを、意識の遡上にのせてくれます。

その生徒さんは意識していない可能性が高いのですが、私としては、その瞬間において、その解答を研ぎ澄まされた刃のように感じ、その刃に反射する光に圧倒された次第です。