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ブログ

2022.Aug.7〔Sunday〕

“かおり(にほい)”

こんにちは、塾長の太田です。

知識を身につけることは、探索につうじる扉を見つけやすくするためのヒントとなりますが、ときに、感覚が何かを察知するながれを遮断しがちな壁にもなりえます。

換言すれば、知識は、ながい時間をかけて、未知の領域への旅のきっかけを形成する契機であるのに対し、感覚は、時空をまたぐ旅へ瞬間的にいざなうきっかけとなりえます。

例えば、“香り(にほい)”。

中学生を中心に指導させていただいているため、例えば、私が中学生だったときの、冬のある日。失恋をしたときに、その女子学生が着ていたダッフルコートと冬の田んぼ道という情景が醸成する、冬の“にほい(におい)”。せつない思い出も、時間の経過とともに美化されます(自己中心的な解釈に傾く、といった方が正確かもしれません)。

春先や秋口に自転車をはしらせているときに、視覚的な変化以上に、“にほい”から感じる、特定の季節の訪れ(もちろん、感覚は、それぞれの感覚器官ごとに分けられるものではなく、複合的なものであることは言うまでもありませんし、そうしたことが、知識と感覚が交錯して生じていることも踏まえたうえで)。

思春期における、東京のデパートの1階(入り口の象徴)と化粧品のにおい(未来と金と美女の象徴)。

図書館のにおい。紙のにおいにより、知の探索へと誘なわれる瞬間。知識と思索の“森林”の中で、“過去”の業績から“未来”への可能性を感じる瞬間。

ワイン。私は日本酒党ですが、ワインの芳香にみせられるときがあります。原料のブドウは、特定の地域の自然環境・歴史のなかで育っているため、そのことだけで、知的好奇心に満たされます。先日、夏休みに入った姪っ子が泊まりがけで遊びにきてくれた日の晩、私はその出来事に際して、帰宅前にワインを買いました(私の帰りは遅いため、姪っ子は私が自転車を自宅にとめる音をきいて、挨拶だけしに来てくれました)。次の日の朝、姪っ子が、「おじさん、いい匂いがする。ワインみたいな。」すごいと、思いました(姪っ子と挨拶をしたとき、ワインは鞄のなかにあったため、姪っ子は、私がワインをのんだことを知りません)。逆に、臭さを感じても、気をつかって、そのことには言及しないときもあるんだなと想像し、成長も同時に感じました。

私もおっさんになり、匂いに関して忌避の対象となりつつあるなかで、“香り(にほい)”に関する思索を通じて、回想に耽る年齢になってきたことを、あらためて感じます。

自らの行いと外的環境が交差するなかで生じる、プラス方向の機微を感じさせる“におい”も、負のニュアンスをふくむ“におい”も、まっすぐに受けとめられるように(生徒さんが、それぞれの体験のなかで感じる様々なにおいを、“アロマ”で拡張したり、“消臭剤”で消したりするのではなく、“うつくしさ”と“くささ”が両義的である場合があることも理解していただけるよう)、精一杯、このときを生きていくべきだと、あらためて考えます。