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2019.Apr.5〔Friday〕
「逆さメガネ」―不器用な私の、私なりのしかたでの指導をめぐる考察 その1―
こんにちは、塾長の太田です。
この世界がもともと“のっぺらぼう”なものであったとしたら、長い歴史のなかで、ある特定の場所で、私たちはそれぞれの場所とその場所で展開される歴史の中で、ある特定の見方でその世界を切り取ってきました。
その意味では、いま、特定の空間と時間の中で私たちが見ている世界は、“のっぺらぼう”な紙を、特定のハサミを使ってある決まった仕方で切り取った切り絵ともいえるかもしれません。
わたしたちは、特定の視点から世界を切り取っている。
その切り取り方は、時間と空間がちがえば、異なります。
こうしたことを、塾での勉強に関して考えた場合はどうでしょうか。
勉強は、基本的に皆さんキライです。宿題も、いやいや、作業でやっているという生徒さんも少なくないでしょう。
勉強に対する見方・姿勢を変える。
これは、個別指導塾を営むものとして、大きなテーマです。
長いスパンで見たときの学習においても、短期的なスパンで見たときのテストの点数を上げるための勉強においても、そうした視点・姿勢の変換が不可欠とも言えるからです。
皆さん、「逆さメガネ」はご存知でしょうか。
それをかけると、視野の上下(左右)が逆転するメガネです。
Youtubeで検索すると、色々な動画が出てきますが、もともとは、人間(の脳)がどのようにものを知ったり捉えたりしているかを調べるための実験道具です。
視野の上下が逆転しても、そのメガネをかけて生活することに慣れれば、それまでと変わらずに動けるようになるということです。
私も、大学の心理学の授業で、「逆さメガネ」をかけた女性が一週間程で自転車を運転できるようになった実験の映像を見たことがあります。
先日も少しお話しましたが、当塾では、長期的に見たときに、生徒さんの学習に対する姿勢を形づくっていくことを希求し、短期的に見たときには、勉強に対する取り組み方を変えるための“しくみ”をご用意して皆さまをお迎えしています。
ただ、そうした“逆さメガネ”をいきなり無条件にかけていただくことはしておりません。
もちろん、当塾がご用意した“逆さメガネ”も絶対的なものではなく、ある意味で比喩にすぎず、目指すのは、レンズの先に生徒さんが放つ光が特定の像を結び、その像が生徒さんが目指す目標となり、それに向かって生徒さんが努力していくことです。
「逆さメガネ」を比喩ではなく、実体的なものとして捉えたときも、「逆さメガネ」をかけた生活に慣れるまでには時間がかかり、忍耐も必要となります。
「逆さメガネ」をかけたときに見える景色が良い景色じゃないと、眼鏡をすぐに外したくもなります。
そうならないように努力するのは、教える側です。
ただ、不器用で才能はないので、“マジック”・“パフォーマンス”ではなく、私なりのしかたで、生徒さんに向き合っていきたいと、改めて考えては考える日々が続きます。