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2022.Oct.9〔Sunday〕
“ひらかれた”物語―その1―
こんにちは、塾長の太田です。
先日、ふと階下に行ってテレビをつけた瞬間、画面にうつったのが、NHKの『アナザーストーリーズ』。その番組をみたのは、たぶん、初めてです。後から気づいたのですが、みはじめたときには、番組の半分が経過していました。
その番組の内容は、『北斗の拳』の制作の過程について。『北斗の拳』は、当時とても人気があった『少年ジャンプ』に掲載されており、私も小学生のときに熱中した漫画です。
ただ、私は幼少の頃からひねくれていたのか、『少年ジャンプ』はほとんど買ってもらったことはなく、『北斗の拳』の単行本を買ってもらっていたことを記憶しています。
当該番組では、原作者の方と編集者の方の当時のやりとりが、それぞれの方の“語り”をもとに、編成されていました。
印象的だったのは、原作者が、8歳近く年下の編集者からダメ出しをされていたと語っていた場面。「より良いものにするために、諦めてはいけない。30分たたかいつづけて…」といった編集者の言。
また、意外だったのは(単行本で買ってもらっていたから気づかなかったのか)、最初から筋書きははっきりと決まっていなかったこと(例えば、主人公のケンシロウの胸の“七つの傷”の意味や、ケンシロウの“兄弟”の設定など)。そうしたことについて、「傑作は、アドリブ的な要素がないと生まれない」といった編集者の言。
私にとっては、過去における“一つ”の、完結されていたかのような“物語”が、それが創られた当時は、つねに開かれたものとしてあって、そうした事実を知ったいま、その“物語”が、私にとって、開かれたものになったような感覚をおぼえました。
以上のことを、学習塾という文脈で考えたとき、“原作者”は生徒さん、“編集者”は講師なのではないかと考えます。
“教科書”や“テスト”それ自体は、どちらかというと、閉じられた体系に属するもののように感じられますが、“塾”という場所は、少しでも開かれたものでありたい、ふとつけたテレビ番組にあらためてそう感じさせてもらいました。