Now Loading...

個別指導塾|安曇野市穂高|Minori

ブログ

2023.Feb.22〔Wednesday〕

おもしろい“誤答”その4―a chilled child(chilled children)-

こんにちは、塾長の太田です。

ロートレアモン伯爵の詩の一句である「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘との偶然の出会い」の対極をなすのが、「学校や学習塾の机上のテスト」と言えるかもしれません。

現実世界のさまざまな複雑な事象は、その属性を限りなく挙げたところで、解に到達したことには到底なりえませんが、テストに関しては、その属性を列挙していくことは同語反復に帰するものという言い方もできるのではないでしょうか。たとえば、解があるもの。また、現実をなりたたせている複雑な諸条件を極限まで省く、“無菌空間”のような設定の上に成立しているもの…。

ただ、「学校や学習塾の机上のテスト」に向かわざるをえない場合もあることのように、特定の目的に自分を合わせていくことが必要とされることもあります。以下で紹介させていただくのは、そうしたなかでの話です。

生徒さんを指導させていただいていて、ときどき、おもしろい“誤答”に出会うことがあります。

テストでは、条件が確固たるものとして設定されている(それがその“ゲーム”のなかでのルールとなっている)場合がほとんどであるため、問題作成者のレールから逸脱した解答は、残念ながら、×をつけざるをえないことがほとんどです。

ただ、生徒さんが意識的にそうしたと思われない場合でも、思いがけない視点が提示された!と感じさせてくれる解答があります。

このシリーズでは、そうした“誤答”を紹介していきたいと思います(そうした“誤答”に出会ったときに、随時、紹介させていただきます)。

今回は、英語の単語のつづりでの“誤答”について。

ある生徒さんが、childrenのスペルをchilledと。

その生徒さんは、名詞を形容詞化してくれたため(a chilled childもしくは、chilled childrenといった流れへと)、文脈が定かではないノッペラとした紙面上のつまらない世界から、私を、解放してくれました。

“chilled”の負の解釈は別として、リラックスした子どもと解釈すればいいのか、それとも、いかした(クールな)子どもと想像すればよいのか。

そうしたことを考えていると(氷に突然、亀裂が生じるほど唐突な話ですが)、時代と場所によって、“こども”や“おとな”といった区別も相対的なものだという“事実”をあらためて突きつけられます。

その諸様相を詳述するのはここでは控えますが、生徒さんが私を、そうした“誤答”から空想の世界へ誘ってくれた経緯をかんがえると、「大人に反旗を翻した子供たちと、それによって虐待される大人たちの姿を描いた空想世界映画」と評されることもある、寺山修司氏の『トマトケチャップ皇帝』の映像が、アタマをよぎります。

“おとな”が当たり前だと信じて疑わない場所(立ち位置)を揺るがしてくれる、生徒さんたちの鋭い“誤答”に、毎回、魂を揺さぶられています。